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8/5(土)。昨日よりも暑い!気持ちいい暑さではなく、じとっとしているのはやはり台風のせい。
今日は夕方からの”松本ぼんぼん”が始まるまで可能な限りあちこちの好きな場所に行ってみます。松本は新旧のいいお店がうまく混ざり合っているように思うのです。
まずは朝食を食べに行きましょう。
”ナワテ通り気ばらし散歩道”、と書かれたところにカエルが。
”松本ぼんぼん”、去年の優勝者が踊るお立ち台を設置中。
松本てまりのマンホール、昨日のと色違い。こちらの方が遭遇率が高い気がします。
私が好きな、お城の形の道案内。目立っていないけどずっとあり続けてほしい。
「珈琲美学アベ」で朝食を。松本に行くならばやはり行きたい、でも日曜はお休みなので今日のうちに行っておかないといけないのです。
メニューを見ていると食べたいものだらけで迷うのですが、昨日に食べ過ぎたのを反省して今までで一番控えめな注文。コーヒー×2、私はバタートーストとハムエッグ、夫はナンドッグとベーコンエッグ。ポテトサラダは分けました。
”悪魔のように黒く、天使のように優しく 恋のように甘い 珈琲のひととき…”、この伝票をもとにメモ帳か何かを作って販売してほしいと毎回思いながら何度も眺めます。
この数年の旅とは違う行動。バスに乗って少し中心から離れます。アルピコ交通の乗車券を手に車窓を楽しみ、15分ほどで「松本民芸館」の最寄りバス停へ。
過去…かなり若かった頃には松本市の中心部から一時間弱歩いて来た事があります。年齢だけでなく今日の暑さの事を考えて今回は迷わずバス。
「ちきりや工芸店」を営んでいた丸山太郎が柳宗悦の民芸運動に共鳴して1962年にこちらを作りました。
創設者であり、初代館長の丸山太郎の経歴と直筆、”美しいものが美しい”。
1958年製の”現代日本民窯地図”。
日本のものだけでなく世界の民芸品とともに丸山太郎の絵ことばや作品も展示されています。
この時期は”涼やかなぬくもり ガラスの器”という企画展をされており、常設されている民芸品と同時に楽しめる並べ方もよかったです。
上には絵が、下には螺鈿の箱。どちらも丸山太郎作。多くの民芸品を遺されています。
1983年には土地と建物、そして6800点ものコレクションを松本市に寄贈されたのだとか。丸山さんの意志を継いで松本市立博物館分館として運営されています。
”丸山太郎の著作”、本だけでなく小皿や金物、”嫁様のおみやげ”として小さなものがたぬきの形に並んでいるのです。見入ってしまう好きなコーナー。
丸山太郎作の卵殻貼柏盆。「卵殻貼は日本で君一人の仕事である」と柳宗悦から評されていたそう。
”咲くために毎日がある”。
窓から見える景色も展示物のよう。天気がいい日は北アルプスの山々が見えるのです。この日は雲で見えず。でも簾越しや格子越し、そして小窓から見えるそれぞれの景色は日常とかけ離れているので十分楽しめました。
こちらの建物は現在「開運堂」が建っている場所にあった魚屋の天保4年築の土蔵なのだそう。
リニューアル後は丸山太郎の意志があまり反映されていない展示形態になっているという声も聞きましたが、私は楽しめています。
私が好きな場所のひとつ、さまざまな松本民芸家具の椅子の上に楽しいデザインの椅子敷が並ぶ光景。座ってひとやすみさせていただきました。
パンフレットとフライヤーとチケット。チケットにも”美しいものが美しい”と書かれています。
そして買ったもの。
東京に滞在していた丸山太郎が娘さんに描いた絵本「たぬきの東京見物」。松本に帰りたくなるあたりが胸に沁みる一冊、出版される前はコピーが展示されていました。
絵ことばのポストカードのセットも購入。
そして手ぬぐいは型絵染作家の三代澤本寿の日本アルプス。使うより飾りたい。
高山の餅搗用臼(餅つき用の臼)、こちらも展示されており、中には鬼灯が。
七夕用の短冊が置いてあったのでそれぞれ願い事を書いて吊るしました。
なまこ壁の前には木のベンチ。この後は昼食を予定しており、その店が開く時間に合わせるため、少しこちらで休ませてもらいました。
こちらは庭の双体道祖神。
「松本民芸館」を後にし、次の目的地まで歩きます。徒歩三分ほどの距離をゆっくりと。田んぼの青青とした稲がきれい。
民家の塀の隙間から咲いている花。
道路の角にあるたばこ店。
歩いているのは私たちぐらい。
目的地「ヤマべボッサ」に到着。二階の窓にも店名、そして屋根にトリの置物が。
入り口にはランチの内容が書かれており、おいしそうなものばかりで高まります。
2016年の秋までは東京の谷中で「谷中ボッサ」をご夫妻で13年ほどされており、民芸が好きで松本に通っておられて大好きな民芸館のそばに物件を見つけて移住されたのです。
夫はキッシュのワンプレートランチで。私は自家製酵母パンのスープセット。キッシュとトマトカレーはスープセットには無いので少しもらいました。
ランチの内容はじゃがいもとゴルゴンゾーラのキッシュ、黒米ご飯、たたききゅうりとトマトサラダ、ひよこ豆とピーマンのトマトカレー、モロヘイヤとツルムラサキの冷製スープ。これらがワンプレートランチにもスープセットにも使われています。ワンプレートランチにはミニケーキ(この日はメイプルチーズケーキ)と飲み物付き。どれもおいしくて感動!
食後に自家焙煎のオーガニックコーヒーをいただきながらご主人とお話をしました。移住…勇気はないけれど憧れはあります。特に松本には惹かれる私たち。
充実した時間を過ごしましたが、今日はまだまだ楽しみが。バスで松本の中心に戻ります。帰りの整理券は10番。
車窓から見える「発狂的 大馬鹿安の店」が気になるなあ。
今町通り周辺をぶらぶら。
2016年にオープンした「monbus」に入ってみました。鎌倉から移住されたのだそう。ヨーロッパで買い付けされたアンティークなどが並んでおり、購入したのは琺瑯のナンバープレート。選んだ数字はやはり”3”。
次々と新しいお店ができている六九商店街ですが、「川崎陶器店」や「紙舘 島勇」などアーケードがあった頃から営業されているお店もあるのがうれしい。
「mina perhonen」にも寄りました。見るだけのつもりだったけど、familleの手ぬぐいを。やはりせっかく来たのだし、旅の思い出として何か使えるものを記念に選んだのです。
そしてほぼ定番コースになっている「LABORATORIO」へ。松本にある好きな場所のひとつとなりました。今日のお店での喫茶休憩はこちらが最後。
暑かったので二人とも冷たいものを、ぶどうジュースとりんごジュース。一気に飲みたいけれどもったいないのでゆっくりといただきました。
こちらでの買い物は「さいき海の市場」の”いりこと小えびのふりかけ”、「ワタナベカリー店」の”星屑マサラ”を買い、ホテル方向に歩きながらもう数店寄ります。
「10cm」では三谷龍二さんの茶匙、田中博子さんの甘夏ジャム、コーヒー豆は”Dragon Coffee Blend 200g”を。
「Dragon Coffee」は三谷さんとオオヤコーヒ焙煎所とイラストレーターのなかむらるみさんの想像上の喫茶店。イベントなどで出店されたりしています。
コーヒー豆の袋には焼いた日から何日後がどんな味になるかなど説明書きがあり、”25日でそろそろまずくなります。飲みきりましょう”との事!”コーヒは焼いた日から毎日味が変わるのを楽しむ飲みものです”、とも。
ところどころに黒い雲が出ていて心配ですが予報を見たら大丈夫そう。
窓が傾き、蔦がからまった空き家。
「something tender」というカレー店、この時間は閉まっていたけれど気になる。
「白鳥写真館」の”まちなかギャラリー”。昔の道具などが展示されている。
ホテルに戻る直前での寄り道は「マサムラ」でした。旅の間に一度は食べないといけないもの(義務)、こちらのベビーシュー。
持ち帰れるお菓子など包装紙も含めて欲しくなるけれど、一刻も早く部屋に戻って涼みたいため切り上げてしまいました。頭がまわらない暑さだったのです。
エアコンで部屋を涼しくしておやつの時間。お湯を沸かして部屋にあるコーヒーをいただき、先ほど買ったベビーシューを食べました。店のオリジナルではないけれど箱もかわいいです。
上土店で買うと近くのベンチや食べ歩きが多いので、部屋に持ち帰って食べる方法はよかったかもです(深志本店はイートインスペースがあります)。
二時間ほど部屋で休みました。

夕方近くになって知ったのだけど、この日の”松本ぼんぼん”の歩行者天国で殺害予告が掲示板の書き込みであったらしく…(後に逮捕された)、子供たちが主体の十六連、約千人が参加を諦めたそう。
私もこわいのでちょっと躊躇ったほどだったけど、警備員を増員したりして予定通り開催されるとの事で緊張しながら行ってみました。
外に出てみると街はいつも通り、そして音楽に合わせて踊りが始まっており、悪質な書き込みに屈せず参加している方達、警備の方々に感謝。
縄手通りを抜けて行きます。
金魚すくいやボールすくい、わたがしの機械にはかわいいものがかぶせてある!
縄手通りはお祭りの屋台を楽しむ子供連れの家族が多いように感じました。踊りを楽しんだり屋台を楽しんだりそれぞれ好きに過ごす夜。
私たちは屋台を通り抜けたのみで、夕飯前に踊りを軽めに観覧。
この年で”松本ぼんぼん”を見に来たのは三度目、「Garga」の幸枝さんには「そろそろ参加したりして!」と言っていただいたり。大阪でそっと自主練しておきます。
夕飯は初めて行く店、「瀞(とろ)」へ。旅の前に教わったのです。2015年の夏にオープンしたお店で、いつも同じところに行きがちなので新たに知れてうれしい。
まずはビールから、キリン一番搾りの”信州に乾杯”。外の暑さもあって一気に飲みたくなる。そしてお通しの長芋からおいしい。
注文したものは…
こちらでは「やまくに」さんのいりこ”黒いパリパリ”をいただけるのです。それと炙りしめ鯖を。
ビールもお箸も同時に進んでしまいます。
そしてこちらではおでんを食べないと。最初に頼んだのは大根、春菊、厚揚げ、ごぼう巻。追加できゃべつ巻、竹の子、玉子。
途中からは芋焼酎”大和桜”のソーダ割をいただきました。普段は焼酎を飲まないのだけど、こちらの店主さんは焼酎専門の酒屋さんで働かれてた事があり、焼酎への思い入れを持って店を始められたと聞いたので。
焼酎が好き、そして九州への思いが強くて鹿児島に行くか松本で店を始めるかで迷ってらした事もあるのだそう。地元の松本で店を開き、おいしい焼酎の飲み方を提案するする事を選択されたのです。焼酎を飲まない私もおいしくいただけましたよ。
店に飾られている版画やコースターは松本の街に合っているなあと感じました。
コースターと箸袋をいただいて帰りました。また来たいです。
外はまだ20時前、”松本ぼんぼん”モードに戻ります。

歩いていると見た事がある人が前から来られ、そっと見たら俳優の山中崇さん!
もちろん声をかけたりなんかできないし、静かにすれ違ったのですが、後で調べたら「まつもと市民芸術館」での舞台が明日からだったようで、松尾スズキさんの「気づかいルーシー」でした。
”松本ぼんぼん”の様子をちらりと動画で。見てみたい方はぜひ再生して見てみてください。
松本山雅連の方々や、和装の方々、そして昨年に優勝された井上連の模範踊り。
通り道で配布されていたうちわを思わずもらうほどの暑さ。松本山雅×miniminiの、鍋林株式会社のは松本城のイラストが。旅のいい記念になる二種をもらえました。
「フタバ眼鏡店」のショーウィンドウにはガンズくん、名古屋グランパスのグランパスくん、湘南ベルマーレのキングベルがいました。
21時前、街は少し人が減って来た様子。ホテル方面に戻る事にしました。
何事も無く開催できて本当によかったです。
ホテルの部屋に戻るわけではなく、「スタンディング 8オンス」に行っておかねば。
Jリーグの速報をチェックしたらマリノスは無事に勝っていました。祝杯って事で夫はトリスハイボール、私はグラスワインの白。
コンビーフとハムステーキをつまみに今日一日をふり返りつつ、試合内容のチェックも欠かさない。おいしいものばかり食べて飲んで今日も幸せな一日でした。
ホテルのロビーには松本関係の本が並んでいます。
ちょうど「Jリーグタイム」が始まり、アルビレックス新潟に2-0で勝利した試合のハイライトを見られました。
夫が応援しているガンバ大阪はヴァンフォーレ甲府に負けていたり、こちらの松本山雅は湘南に敗れていたり。そんなわけで控えめに勝利を噛み締める夜でした。昨日がマツの命日だっただけに勝てたのは本当によかったです。
(2021.3.9 更新)

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